広告主にとって販売支援活動はサプライチェーンにおいて重要な位置づけにありほとんどの企業が予算を組んでいます。反面、業界の統計データが示すところでは、その予算はデジタルの領域では驚くほど利用されていないことも分かっています。本稿ではデジタルにおける販売支援広告の機会を分析するとともに、Kenshooの広告主がこれまでに実施してきた実施例をいくつかご紹介したいと思います。

そもそも販売支援広告とはどんな広告なのでしょう。広告主にとっての位置づけはどのようなものでしょう。

一言で言えば、販売支援広告とはメーカーが小売事業者へ(あるいはフランチャイズ本部が加盟店へ)販売促進を目的とする支援活動であり、自社の売り上げアップとともに、小売りへのてこ入れという利益をもたらすものです。言い換えれば、メーカーがマーケティング予算を拠出し、販路側の販売活動を支援する仕組みです。非常に効果の高い、一貫して双方にメリットのある手法となりえます。

それにもかかわらず、BIA/Kelseyの調べによると、販売支援広告はデジタルの領域ではほとんど手つかずとなっており、オンラインに投下されるのは予算の13%にすぎません。しかも、販売支援広告の予算の50%近くはまったくの未使用なのです。原因は形式的なものとして手法やその効果まで定めていない、運用が効果的でない、あるいは単に実施のためのノウハウがない、などが考えられます。社内的な形式主義に関してはどうすることもできませんが、この領域においてKenshooの広告主の中には既に小粋なSEMの共同広告を設計、運用をされているところがあります。その実施例をご紹介することも可能です。

新たな形に寄る販売支援広告案を上司に提案する前に、検討しておくべきポイントがいくつかあります:

目標:

予算投下の主要な目的は何か?

一般的にはダイレクトレスポンス、ブランディングもしくは認知向上、そしてコンクエストの3つの目的が考えられます。ダイレクトレスポンスは販売そのものを促進すること、アウェアネスは新規の顧客あるいは未決定の顧客の理解を促進する施策、コンクエストはより野心的に競合他社の顧客を取りにいくアプローチです。目標の如何を問わず、ぶれないこと、目標の達成に効果のある戦略を設計することが重要です。

プログラムマネジメント:

誰がプログラムの設計をし、運用を管理し、レポーティングを行うのか?

実施の主体がメーカーなら、メーカーが主導権を握り、レポーティングへのアクセスを監督します。ただし、消費者が実際に購入を行う小売の現場までのトラフィック把握には困難が伴います。他方、小売事業者に管理を委ねれば、コンバージョンの透明性は確保できるかもしれませんが、予算の配分、戦略、効果測定に関してはメーカーと密接に連携する必要があるでしょう。

予算の出所:

予算の出所と内訳は?

多くの場合、メーカーのプロダクトマネジャーは特定の商品を押したがりますが、CMOはもっと広範な施策を考慮するかもしれません。いずれにしても、この問題は次の問題に直結します。

効果測定:

メーカーはどの程度のレポーティングやトラッキングを望んでいるか?小売事業者はどの程度の情報共有なら同意できるか、あるいは可能か?

技術的な能力と内部的なモチベーションは案件によって大きく異なるため、シナリオごとに個別固有と考えられます。

一方で、より戦術的な観点から考慮すべきポイントがいくつかあります。具体的にはターゲティングと実際のカスタマーエクスペリエンスです。

ターゲティング戦略 ― サーチファネルのどこを対象とするか?

  • ファネル上層部の検索行動では業種関連の一般用語がキーワードとして使われます。消費者は検索の初期の段階で業種関連の言葉を使って選択肢の検討を行うため、業種関連のキーワードは馴染みのない消費者や買いたい商品を決めていない消費者へのリーチには効果的かもしれません。他方、このような顧客は検索を始めたばかりであるから、ファネル下層部のブランドキーワードほどのROIは期待できないでしょう。
  • 製品・サービス固有のキーワードは既にあなたの会社の製品に多少なりとも馴染みのある消費者へのリーチを助けます。成約に効果を発揮しうるターゲティングと言えるでしょう。ただし、検索者が既に商品を知っているなら、メーカーにとっての価値はそれほど大きくないかもしれません。
  • ブランドキーワードも、検索した人を実際の購入に向かわせるうえで非常に効果的です。ただし、製品固有の検索語同様、消費者が既にメーカーを知っているとすれば、メーカーには追加的な価値はほとんどないかもしれません。

コンシューマエクスペリエンス ― 検索した人を顧客に転換するために、どんなエクスペリエンスを提供したいか?

  • リンク先ページは検索者の送り先です。トラフィックを直接小売事業者のページに送って購入させれば、コンバージョン率は最大限に上がるかもしれません。ただし、チャネルの規定上、広告主とリンク先ページを一致させる必要があるため、管理者の問題、つまりメーカーの管理か小売事業者の管理かという問題が生じます。他方、メーカーの情報ページへ送ると、コンバージョンプロセスにワンステップ追加されることにはなりますが、小売事業者主体の管理に比べて、より簡単にプログラムをスタートさせられるでしょう。
  • 広告クリエイティブは検索者のクリックを促し、彼らがリンク先で想定すべき物事を表現するものです。販売支援広告では、主要な価値提案やプロモーション内容とともにメーカーの製品名やサービス名を出すのが一般的です。
  • 表示URLは広告の主体者とクリックした人が送られる先のドメインを示しています。前述の通り、ほとんどのチャネルは表示URLとリンク先URLの統一を求めるポリシーを持っています。

販売支援広告をうまくスタートさせるためには、これらすべてを考慮に入れることが重要です。個々の構成要素を十分に理解したうえで、それらをもう一度組み直すのですが、合わせて現実的な応用例をいくつかご紹介しましょう。比較的シンプルな事例からより洗練された施策へという順序で論じます。

  1. ブランドアウェアネス(認知)を促進する試みとして、“SNAZZY Phone Co”はファネル上層部、具体的には電話一般という製品カテゴリーをターゲットにサーチ広告を展開し、製品情報を掲載する“snazzyphoneco.com”のページにトラフィックを誘導しました。ランディングページでは、SNAZZYから小売事業者のサイトに遷移し、そこで検索者を購入まで誘導しました。Kenshoo Portfolio Optimizerの高度な入札アルゴリズムを使うことにより、外部の小売サイトへの送客を最大限に増やし、設定した販売支援施策の予算配分で全体的な送客単価を引き下げました。
  2. “STELLAR Computer Company”は自社のオンライン施策を補完し、小売パートナーの売上を増やすために、Retailer.comに予算を付けて新規のSEMキャンペーンを展開しました。Retailer.com単独ではROIが見込めない通常なら入札しないようなファネル上層部のコンピュータ一般という製品カテゴリーのキーワードにターゲティングしました。STELLARの予算を明確に区別するため、Retailer.comはこの施策専用のKenshooプロフィールを設定し、STELLAR関係者にレポートアクセス権を付与してKPIのモニタリングができるようにする一方、Retailer.comの他のキャンペーンに直接アクセスして変更や閲覧をできないようにしました。この施策は非常に大きな成果を上げたため、追加的な販売支援予算のシナリオ設計にKenshooのHalogen予測機能が投入されました。
  3. 3. “BEST Hair Cuts”の本社では、フランチャイズ加盟店の電話予約にてこ入れするため、加盟店の所在地ごとに個別にジオターゲティングしたSEMキャンペーンを展開しました。BEST社はKenshoo Call Conversion Optimization(CCO)を活用して、通話を発生させたオンライン検索に通話データをフィードバックしつつ、加盟店に代わってキャンペーンの予算を一元的に拠出する一方、加盟各店に通話件数や電話予約件数などを報告しました。
  4. 4. “QUALITY Coffee Makers”は、新製品の出荷に備えて小売パートナーによる前年モデルの在庫処分を支援したいと考えておりました。メーカーは商品を動かすために新規のSEMキャンペーンを展開し、その目玉として顧客がオンラインで印刷し、店舗で使える10%キャッシュバックのクーポンを配布しました。メーカーはKenshooによるRevtraxのインテグレーションを活用し、店舗での売上とオンラインのクリックに紐づけるとともに、キーワード、広告の最適化を通じて効果的な運用、レポート管理を行いました。

このほかにも共同広告を実行するシナリオや戦略は数え切れないほどありますが、ここに述べた検討事項や戦略が御社自身の可能性を考えるきっかけとなれば幸いです。共同広告の詳細に関しては弊社までお問い合わせください。