Kenshooの「デジタルの未来- the Future of Digital」シリーズイベントは、アジア太平洋日本(APJ)地域において9月から近頃まで続けて開催されました。その中で、一つ明らかになったことがあります。この地域のマーケターはこの業界では優位に立っており、多くの新しい発想に満ちあふれ、アジア太平洋日本(APJ)地域におけるデジタルマーケティングを次の段階に推し進めつつあるということです。

200を超える大手企業と代理店がシドニー、メルボルン、シンガポール、ジャカルタ、そして東京でKenshooと共に集い、Kenshoo、Facebook、Google、Bing、Hootsuite、Domain、Lion & Lion、ValuKlik、Pinnacle、Urbanindo、PasarPolis、さらにはYahoo! Japan、電通iX、GMO NIKKOといった業界に影響力を与えるパネリストたちが展開する「デジタルパフォーマンスの未来」をテーマにしたディスカッションに耳を傾けました。

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Sydney and Melbourne Panelists

Japan Panelists

ディスカッションは期待に違わぬ内容で、5つのイベントのいずれにおいても明白とされたのは、物事が”たいへんな速さで”変化しているということでした。また、マーケティング活動の成功や事業の成長は、この変化をいかに受け入れ、いかに活用できるかで決まると結論づけました。

この変化の一部として、マーケティングファネル全体のパフォーマンスマーケティング化が挙げられます。CPA課金や直接的なコンバージョンの管理にとどまる話ではありません。オフラインとオンラインの別を問わず、効果を追跡し、カスタマージャーニー全体を定量化する能力が向上したおかげで、このような定義は今やあまりに狭すぎるのです。Facebookのリーチとフリクエンシーは、ブランドキャンペーンがよりパフォーマンスキャンペーン的な属性を帯びつつある格好の事例です。そしてこれはより計測可能な結果を経営陣に提供したいマーケターにとってはまさに福音と言えるでしょう。

Kenshooのマーケティング担当グローバル副社長、スティーヴン・ハートマン(Steven Hartman)

は伸び続けるオンライン滞在時間についてこう論じました。「7月、ニールセンはオーストラリアにおける同月のオンライン滞在時間が390億分だったと報告しました。この時間はすべて消費者に対するマーケティング活動に使いうる時間です。しかし、消費者のオンライン滞在時間がこれほどに増えた中、私たちはいったいどこに私たちの予算を投下すればよいのでしょう。」

下のグラフを見れば60秒ごとに起こっていることが一目で分かります。

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ご覧の通り、パブリッシャー1社を相手にシングルスレッドで、あるいは一次元的に思考する時代は変容しつつあり、マーケターとしてもこれら瞬間瞬間(いわゆるモーメント)のとらえ方を見直す必要に迫られています。例えば、消費者はチャネルで物事を考えません。彼らが欲するのは切れ目のないシームレスなエクスペリエンスです。マーケターである私たちには、この現実に歩調を合わせ、マーケティング部門にときに見られがちな縦割り型の手法を打破する努力が必要です。

オーディエンスとつながるこのように多くの機会や瞬間がある反面、最大限に影響力を行使するためのタッチポイントの選択は課題の一つになります。この点について、スティーヴはたいへん説得力のある議論を展開しました。

「今こそチャネル中心のマーケティングから、重要な瞬間をとらえて訴求する”イン・モーメント”のマーケティングへと進化すべきときです。顧客や見込み客との潜在的なインタラクションそれぞれに数多くの並列信号が存在しており、マーケターはこれらを手がかりとしてエンゲージすべきか否かを判断し、すべきと判断するなら、今度は予算に合わせてどの広告を採用すべきか判断します。」

最終的に重要なのは、これら重要な瞬間(モーメント)の分析にすべての時間を費やして何の行動も起こさないなら、消費者とつながる機会を逃してしまうということです。

Kenshooのようなテクノロジーを導入し、データを効率的に解釈できるようになれば、環境の変化を最大限に利用し、その恩恵にあずかり、水面下で進行するさまざまなモーメントに対して素速く対応できるでしょう。最も重要なポイントは機敏に対応できる状態(アジャイル)であることです。機敏であればあるほど、チャネル、パブリッシャー、各種のデバイスから成るこの繁雑なエコシステムをスムーズに、そして容易に立ち回り、ビジネスに最善の成果を出せるのです。

以前Domain社でコンシューママーケティングマネジャーを務めていたシャフルーズ・チョウドリー(Shahrooz Chowdury)はこの主張を支持し、次のように述べています。

「興味や関心を得るということは希少なことであり、努力しなければ得られないものです。消費者は完璧に練り上げられたメッセージで釣り上げられるのを待ち構えているわけではありません。大切なのはアジャイルとフェールファースト(機敏に動き、だめと分かればすぐに軌道修正すること)です。

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私自身、マーケターの一人としてこの主張には大いに共感しました。完璧なメッセージの追求など誰もがやっていることであるし、顧客との貴重な機会を逃してしまうこともときにありうるのです。ようやく完璧なメッセージを練り上げる頃には、当の顧客の興味は他に移ってしまっているでしょう。購入を意図した瞬間はすでに過ぎ去り、彼らの関心は競合他社へと移ってしまったかもしれません。データとテクノロジーがあれば、より迅速な意志決定を可能としつつ、最善のメッセージを適切なタイミングで、適切な顧客に対して配信する助けとなります。そして、プログラマティックが果たすここでの役割は非常に大きいのです。

デジタル広告、もっと具体的に言うならEコマース、ソーシャルメディア、サーチエンジン、モバイルなどですが、これらは購入ファネルにおける消費者の動き方を一変させました。Kenshooの事業開発担当上席副社長、シヴァン・メッツガー(Sivan Metzger)はこの状況をシンガポールで見事に表現しています。

「モバイルは購入ファネルと消費者としての私たちの振る舞い方に劇的な効果を及ぼしました。それはもはや購入ファネルと呼べるものではなく、購入プレッツェルと呼ぶにふさわしいものです。」

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基本的に、ファネルはもはや順次的に起こる一連のイベントではありません。明確な始点も終点もありません。カスタマージャーニーはまるでプレッツェルのようにくるりと捻られて切れ目のないループを作り、顧客の生涯価値(LTV)やロイヤルティにもっとバランス良く重点が置かれるようになりました。この変化を牽引してきた立役者がモバイルとアプリでした。

消費者の目はこれまでになく肥えてきています。この状況下、購入に関わる彼らの意思決定に影響を与えるためには、データとテクノロジーを駆使しつつ、スピーディかつ効率よくこのループに働きかける必要があります。Kenshooではこのループを無限大なチャンスの一つと見ており、これに技術的な処理能力と革新が加われば、企業も消費者と同じくらい機敏(アジャイル)になれるでしょう。

前述の通り、モバイルは今回のパネルのいずれにおいてもよく議論されたトピックでしたが、その内容は当日、ライブのイラストレーションで図式化されました(下図を参照)。また、イベントの参加者がモバイル広告に費やす時間にも興味深いものがありました。4つのいずれの地域においても、出席者のほぼ60%がモバイル広告に費やす時間を20%から50%と回答しており、なかでもジャカルタの数字が最も高く、出席者の3分の1が「50%以上」と答えました。ほとんどの国民がデスクトップではなくモバイルでインターネットにアクセスしているというモバイルファーストである国の環境がよく現れています。
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 Sydney, Melbourne and Singapore

すべての地域のイラストレーションをご覧になれます。シドニー、メルボルン、シンガポールのうち、見たい都市名をクリックしてください。

4つのイベントを通じて分かったことですが、APJ地域内では皆同様の課題を経験している一方、洗練度に関しては国ごとに異なるようです。リアルタイムで行ったイベント参加者による投票では、最も差し迫った問題として、「チャネルやプラットフォームの選択」と「ROIの計測方法」が挙げられました。これは4つの地域にほぼ一貫した回答でした。

パネルに提示された最後の質問は「デジタルの未来を一言で表してください」というものでした。アジャイル、クロスデバイス、ユビキタス、レリバンシー、Eコマースなどの回答が挙げられるなか、出席者の投票の結果によると、最多の回答はパーソナライズでした。この結果は、最近爆発的に増えている広告ブロックや、自分個人と直接的に関係のない広告に対して消費者がますます不寛容になっている状況とも呼応します。

オンライン上で大きな変化と成長が起こるなか、成功の決め手はデータとテクノロジーを最大限に活用し、シームレスでパーソナライズされたメッセージを、適切な相手に適切なタイミングで配信することです。これこそが「デジタルの未来」なのです。